ゆーきのバイト事件

 

YORD RUN 01こと、ゆーきはバイトをしていた。
土方をはじめ、ゲームセンター、かまぼこ屋、スーパーや派遣会社など、
けっこういろいろな職種を経験した。
もちろんお金を稼ぐのが目的なのだが、社会勉強という意味でも、アルバイトはやっておくべきだなと思った。
特に客商売の楽しさや難しさを経験する事ができたのはよかった。

客商売は多種多様だが、お客さんにもホントにいろんなひとがいる。

 

01ゆーきが御惣菜屋さんで働いていた時に、こんなお客さんがいた。
その日は、焼き鳥の特売日だったので、御惣菜屋さんの棚には焼き鳥が所狭しと並べられていた。
焼き鳥は、お客さんが好きな種類を好きな量だけ自分で選んで買えるように、
トレイと中身は別々にして置いてあった。
01ゆーきは、調理場にいながらお客さんの流れを観察したり、
棚の商品がなくならないように補充したりと、なかなかエレガントにテキパキと仕事をこなしていた。
と、01ゆーきは何か違和感を感じた。
冷静になって売り場をよく見てみた。
おばさん数人がサラダを選んでいた。
赤ん坊を抱いた母親がチキンを手にとってかごに入れていた。
おじいちゃんが焼き鳥をひとつつまんで食っていた



「・・・・なに食うとんじゃジジイ。」

 

 

 

こんな客もいた。
本にも落丁本があり、自動車にも欠陥がある。
それはモノづくりをする上でしょうがないことだと思う。
御惣菜屋でも、パッケージが割れていたり、刺身にしょうゆを付け忘れたりする。
そんな苦情がでたときは、もちろんパッケージをしなおしたり、
しょうゆを差し上げたりる。お詫びの言葉を添えて。
しかし、こんな事をお客様に言われた時、もしあなたならどんな対応をするだろうか?

01ゆーきは仕事を覚えてきたので、
その御惣菜屋の主力商品である「揚げ出し豆腐」を作るという仕事を任せられた。
(余談だが、まじでここの揚げ出し豆腐はうまい!!)
みなさん、揚げ出し豆腐はもちろんご存じだろう。
揚げたとうふである。
ある日、お客さんのひとり(おじいちゃん)が、調理場から売り場に出てきた01ゆーきを呼び止めてこう言った。

「なぁなぁ、にいちゃん。おたくの揚げ出し豆腐を食ったら歯が折れたんじゃがのぉ・・・。」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・とうふ・・・・で?」

 

 

 

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